アフリカの旅 5

1998年5月24日

私のようにサファリ(動物見物)にも行かず、キスムの町(観光地ではない)でブラブラしている旅行者はよほど珍しいらしい。キスムに来る旅行者はビクトリア湖を見るのが目的で、何も無い事と海のように茫洋としている事を確認したらさっさと帰ってしまう。カバを見る為にだけやって来る旅行者も多い。

湖からやってくる風がカーテンを揺らしている。朝は涼しいので、あまり早く起きずにベッドの中に8~9時頃までいるようにした。とにかく疲れを取らない事には、マラリアや下痢や風邪などの病気に罹りやすい。夜は蒸し暑く、蚊帳の外ではモスキートが一晩中羽音を立てて飛び回っていた。ここはマラリアが発生している。

ボーイが来て、洗濯物があったら洗うと言うので頼んだ。埃まみれの旅で私のセーターもシャツもズボンもかなり汚れていた。ものを頼む時や買う時は必ず先に値段を聞き、決めるのが鉄則だ。欧米や日本の社会とはシステムが異なるのだ。定価など無い。ボラれて文句言っても後の祭りなのである。全部で40シリング(80円)だった。ボーイが行く店ではチャイがたった5シリングだから、この40シリングというお金は金持ちにははした金でも彼にとっては大切な収入なのだ。

5どうも、中流以上の人々と下層階級の人々の間では、同じ1シリングでもその重みが違うようだ。ボーイが行く安食堂に入ってみると、飲んでも食っても100シリング止まりだった。金持ちと比べれば、1シリング(≒2円)も10倍の重みを持っている。安食堂や屋台で彼らがどんな食事をしているかと言えばこうである。金の無い時は5シリングのチャイとマンダジ(ドーナツ)5シリング、またはチャパティで済ませる。この食事なら20シリングで事足りる。金のある時はカランガ(肉とジャガイモをトマトで煮込んだシチュー)40シリングとウガリ(主食)を食べる。しかし見ていると、肉は高価なのであまり食べれない。自炊ならもっと安く上がる。

一ヶ月1000シリングで暮らす人達が沢山いるんだ、と私に教えてくれた黒人青年の顔が頭に浮かぶ。

今日は日曜日とあって、教会に行く人々も沢山いた。私はホテルの向かいの歩道の傍らでスケッチもした。アフリカに来て初めてのスケッチであった。私の絵を見に来るのは子供らだけで、人だかりの為に絵が描けなくなるという心配はなくホッとした。


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