マジャールの残影 4-1

1997年4月18日 金曜日 晴れ

日中、気温がぐんぐん上昇して、ウィーンも平常の暖かさを取り戻したらしい。外へ出ると、新緑が鮮やかであった。

公園や街路には人々が溢れ、老人たちがベンチに腰かけてお喋りに花を咲かせていた。町は活気を取り戻し、カフェもレストランも客で一杯だった。

日本を出てからずっと寒い思いをさせられてきたので、今日の暖かさと太陽がありがたくもあり嬉しくもあった。

昨日歩き回ってやっと探し当てたハンガリー大使館へ午前中出かけた。入口で荷物と武器のチェック。最近の大使館はどこでも物々しい。

判じ物みたいな申請書に手こずった。「ハンガリーでの仮の住所」なんて項目があった。気ままな旅をしている我々には、そんな当てがある訳もない。

どうしようかと困っていると、日本人らしい人がいたので聞いてみた。彼は親切に色々教えてくれた。

私は、その項目にはブダペスト セントラル ホテルと適当に書き込んでおいた。でっち上げだが、書き込まないよりはマシだ。セントラルホテルなんてのはどこにでもあるから、別に怪しまれないだろうと思った。

その親切な日本人は拝崎さんという人で、年の頃は40前後、気取ったところもない人だった。ブルガリアに10年、オーストリーには7年住んでいるという。今は寿司バーに寿司ネタを卸す商売をやっているようだ。

今、ウィーンでも寿司バーが大流行で、市内に50件くらいあるという。その大半は中国人や韓国人で、中には白人のやっている店もあり、日本人のやっている店は数えるほどしかないのが実情だと彼が説明してくれた。

ウィーンではピザ屋も大流行で、あちこちで見かけた。

しかし、寿司バーもピザ屋も、一般のカフェテリアやトルコ人のやっているドナ・ケバブ屋に比べると相当高い。しかし中身は大したこともない。特に、外人のやっている寿司屋は衛生管理の面で心配になる。

ハンガリービザの申請を済ますと、12時半に取りに来るように言われた。ダブルビザ12000円也。ベラボーだ!

1時間ほど間があるので、拝崎君の案内で近くにある有名なカフェに行った。

この辺の建物はどこでも、昔に建てられた石造りのネオ・ロマネスクやゴシック式で立派なものだ。カフェの中の内装もシックで素晴らしかった。天井は気の遠くなるほど高く、細長く高い窓には素晴らしいレースのカーテンが誂えてある。

我々のテーブルにボーイが来ると、拝崎君が流暢なドイツ語であれこれ注文してくれた。

クリーム状に泡立てたコーヒーに、フレッシュを少し落としてあるメレンジェ。これは格別に美味しい。ハスカップの実がたっぷりのケーキ、これも水準以上。しかし甘すぎるきらいがあった。

hungary4-1


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