マジャールの残影 4-3

夕方、拝崎君と会う約束をしていたので私は一人でメルカードの方へ出かけた。

拝崎君の働いている日本食料品店はすぐに見つかった。その名も「日本屋」である。店内には、カップラーメンから海苔、梅干しからどんぶり、茶碗の親に至るまで何でも揃っていた。

私は醤油を1本買い、拝崎君の仕事が終わるまで少しメルカードの中を散歩した。

ここには小さな店がぎっしり並んでいる。寿司バーからチーズ屋さんから魚屋まで何でもあった。ここなら、オリーブ一つをとっても何十種類も見る事が出来る。品物は豊富で安い。トルコ人やブルガリア人やルーマニア人マケドニア人、ハンガリー人などの外国人が目立つ。

その夜は拝崎君の車でフミコも連れて郊外のレストランに連れて行ってもらった。ウィーンの市街地から山の方へ行く途中に、道路の両側にレストランがズラリと並んだ地区がある。客が多くて駐車スペースを探すのに苦労した。

拝崎君の案内で、どっしりとした造りの古めかしい大きなレストランに入った。レストランの裏はそのままブドウ畑だ。このレストランは、自分の畑からブドウを取ってワインを作っているのであり、それがこの地区のレストランの条件なのだと拝崎君が説明してくれた。

拝崎君は長年飲食店関係の仕事。コックをやって来ているので大変な食通であった。テーブルに掛けると、民族衣装の女性ウェートレスが来た。

オーストリーでは白ワインが一般的で生産量は赤ワインより遥かに多い。したがって、このレストランのオリジナルも白ワインだった。白ワインを炭酸で割って飲む。実に美味い。

それから席を離れてガラスケースの所に行き、欲しい料理を皿に盛ってもらい、勘定を済ませた。肉、魚の料理、オリーブ、チーズ、サラダなど6皿くらい。テーブルに自分で運んで気軽にワイワイと飲み、かつ食べるのである。

店の奥の方では、音楽師がアコーディオンとギターで土地の音楽をやっていて、たくさんの客で賑わっていた。我々もそんなムードの中で乾杯し、楽しい一時を過ごす事が出来た。

拝崎君が食べ物と料理の説明をあれこれしてくれた。デザートにはケーキを何種類か取り、コーヒーと紅茶を頼んだ。

拝崎君は明日自分の車を運転してドイツのフランクフルトに出発するという。

食後、山頂へ車で連れて行ってくれた。そこからはウィーンの夜景が一望できた。実に美しい。後は何も言えない…

拝崎君にホテルまで送ってもらい、別れた。

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