マジャールの残影 13-2

10時に店が看板になったので、三木さんの彼女と私達の4人でピザーリアに行った。

彼女の方は亭主持ちだと言うが大っぴらなもので、こちらが心配したくなる。彼らのお邪魔にならんうちに退散した。

三木さんは東京の大手のサラリーマンで、連休を利用して来ている。

乞食とサラリーマンは3日やったら止められないと彼は言う。他の国では、日本人と分かるとカモにされるが、この国では日本人であると分かった方が安全だし、また尊敬されると三木さんは話してくれた。彼は、大きなニコンのカメラをぶら下げていれば日本人に見られると言って笑った。

この国の人間はすごく見栄っ張りで、貧乏臭い格好をすると侮られるから、服には金をかけるのだと言う。彼は

「安い安い、ここでは1000円が5000円位の価値がありますからいくら振舞い酒をしたって平気」

と金を使いまくっていた。店にいる客にどんどん酒を奢ってやる…。

私達は何となくシラケた気分で店を出た。

果たしてハンガリー人は、そういう日本人を尊敬するだろうか?決して良い気持ではないだろう。

この国の人々は、オスマントルコやアッティラーやロシアやハプスブルグ家などに支配され、戦い侵略されてきた。第2次大戦の時も負け組だった。ハンガリーは、かつては大国だったが、今ではトランシルバニヤ、クロアチア、スロバキアとその70%の国土を失って小国になってしまった。

ハンガリー人は物静かで優しい印象を受ける。人も良さそうだ。ハンガリー人は今でもマジャールの栄光と偉大さを忘れてはいない。三木君は見栄っ張りと言ったが、私はそれは見えではなくプライドだと思う。彼らのプライドを傷つけるような行為や態度は慎まねばなるまい。

この国からは、偉大な大芸術家が非常に多く輩出している。私の乏しい知識でも、リスト、コダーイ、エルケル、バルトー、セーチェニ(民族運動の指導者)、コバーチ・マルギット(女流陶芸家)、フィレンツィ・カーロイ(印象派)、最近では大女流小説家のアゴタ・クリストフが出現した。私は一年前に「悪童日記」を読んでいる。

このペーチにも、美術館だけでも10くらいある。ハンガリーの生んだ鬼才チョントバーリはじめ、ヴァシャレイ、メシュ・エンドレ、マルティン・フェレンツ等がある。国立オペラ劇場もあって、文化水準は驚くほど高い。

hungary13-2


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