マジャールの残影 15-1

1997年5月1日 木曜日 メーデー

レストランや酒場を除いて、全部お休み。町はパレード。

ペーチの中心に一軒だけ「マクドナルド」がある。私は東欧に来てまでアメリカ文化に触れたくはなかったので、一度も行った事がない。本当はレストランでゆっくり食事したかった。しかし、今日はお金をくずす為に仕方なく入った。

ハンバーガー2個、コーヒー2杯、5000Ft札でおつりが4700Ftだった。日本円で240円というところ。裏通りのワイン酒場で、同じくサンドイッチ2個とコップ1杯のワインとコーヒーを頼んで、全部で160円だった。マクドナルドの1/2だ。やはりマクドナルドは高い。もっとも日本のマクドナルドは、ここのマクドナルドの2倍はするが…。

私達の価値感覚は、既にハンガリー並になったというところか。

物価の話をすると、ハンガリーでは食料品と交通費は安い。しかし、宿泊代とか服とか靴は高い。ここで服とか靴を新調する計画だったが止めた。しかし、レストランや酒場は日本や西欧に比べると安い。半分くらい、またはそれ以下の所もある。しかし、料理は西欧並みかそれ以上だし、建物やボーイもエレガントで洒落た感じでムードは良い。

しかし、ちょっと高級なレストランに行く時はスーツにネクタイで行かないと入りにくい。馬鹿にされるのがオチだ。ここには、高度で洗練された文化がいまだに保たれている。だから、ヨーロッパの片田舎くらいに考えて来ると慌てさせられるだろう。

私は、スーツを1着くらい持ってくれば良かったと思う時がある。しかし、スーツなんて窮屈だから性に合わない。ダサい日本人でも良いさと開き直る事にした。

「あのサルめ、いつまでウロウロしてやがんだ」

なんて陰で言われてるかもしれないが、そんなことを気にかけたら非日常の世界は消え失せるし、旅は旅でなくなる。

拝崎君はブルガリアで実際にそういう事を体験したと言っていた。そういった相手にブルガリア語で

「今何て言った?もう一度言ってみろ」

と怒鳴ったら、そのブルガリア人は青くなったそうである。ブルガリア語を喋る東洋人、まして日本人などいる訳がないと相手も高を括っていたらしい。
やはりこれは似たような話だが、私はリスボン生活10年目という宮入君の話を思い出す。

宮入君がある日店の中で買い物をしていると、店員が他の店員に

「あの中国人、きっと盗むから目を離すんじゃないよ」

と大声で話してるのを聞いて頭に来たと言っていた。

彼が流暢なポルトガル語で

「中国人で悪かったですね。私は日本人だし、ここで物を盗むつもりもないよ」

と店員に言うと、彼らは大いに狼狽えて、その慌てぶりが可笑しくもあり腹立たしくもあったそうである。

hungary15-1


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