マジャールの残影 19-1

1997年5月7日 晴れ

ペーチに来て早くも2週間が過ぎようとしている。

町の外れの小さなレストランでこの日記を書いている。

ストリートから差し込む陽の光は日増しに強くなってきた。外を見る時は目を細くしなくてはならない。

マロニエの葉は、来た時はやっと小さな芽が出そろったところだった。今では、豊かなフサフサとしたクリーム色の花房が咲き揃って見事だ。マロニエの木陰で疲れた足を休める。

11時、頃郵便局に行って絵葉書を日本へ送った。4枚で360Ft。

帽子屋を覗き、安かったのでソフトな鍔広帽子とベレー帽とハンチングを買った。その後、ペーチに来たばかりの頃に一度行った小さなレストランに行った。

このレストランに初めて行った時は、メニューがサッパリ読めず辞書を片手に注文した。店の女主人が気の良い人だったから気長に聞いてくれたが、そうでなかったら怒り出していただろう。あれから2週間近く過ぎ、今回はスラスラと注文できた。店の女主人は覚えていて、ニコニコと笑った。

バブグヤーシュとパン。キュウリのサラダとはキュウリのピクルスの事だった。

他にトルトット何とかというのを注文したら、それは要するにトンカツだった。トルトットとはタルトの意、すなわち詰め物を料理したものだから、その様なものを想像していた。なるほど見かけはトンカツだが、切ってみるとタルトに違いなかった。豚肉の薄切りの中にハムとチーズを詰めて包み、それにパン粉と溶き卵を付けてフライにしたものだった。

付け合わせはラントット・ブルゴーニュ、すなわちフライドポテトであった。

私達の知る限りではスペイン語、ポルトガル語、フランス語、ドイツ語、イタリア語などの単語は英語から連想できる場合が多く、よく読めば内容を大体理解できる。しかしこのハンガリー語ときたら、まったく異なるので連想できない。特に料理を示す言葉はどこの国でも特殊であるから、メニューを理解するには食べてみるしかないというところがある。外国人が日本へ来て、「とんかつ」「おにぎり」「しゃぶしゃぶ」「とんこつラーメン」なんて言われても何のことやら分からんのと同じだ。

hungary19-1


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