マジャールの残影 25-1

1997年5月13日 晴れ

電話での約束通り10時にカタリンが来てくれ、2日分の支払いを済ませた。

カタリンのアパート(日本ではマンションに相当)に来て早や6日。居心地が良いせいか、時の経つのを忘れてしまう。

午前中、玄関の窓から見える風景を描いた。

アパートは上から見ると口型をしており、中央が庭(パセオ)になっている。アパートには店もあるし、ウチの隣は歯科医院で、絵を描いていると患者が時々やって来る。

私は、中庭を挟んだ対面のアパートの壁と窓と、アールデコの極めつけみたいな黒い鉄製の手すりと、セピア色の瓦を葺いた曲線的な屋根とレンガの煙突などが作り出す空間に魅力を感じ、スケッチを開始した。

2時頃にやっと描き上げた。途中で止めれば上出来だったものを、描き込みすぎて駄目にしてしまい口惜しい。今度は発色の良いアルシュの水彩紙(フランス製)を使って描き直す事にして、フミコと外出する。

ブダペストは、ペーチから帰って来てから目が慣れたのか、人ごみや林立するアールデコ、ルネッサンス、バロック、ゴシック、ロマネスク様式の壮大な建物にもたじろがなくなった。そうなると、目が別の所へ向かうようになってきた。

白人の顔も慣れてくると、「あー、この人はウチの隣の熊さんによく似とる。いやーこの人は床屋のハッさんにそっくりだ」なんて感じに見えてくる。

言葉も最初はさっぱり分からず困った。しかしハンガリーに来て3週間、旅に必要な単語や数字を覚えたので、物を買ったり、酒場やレストランに入って注文したり、勘定を払ったり、宿を探したり、バスに乗ったりしても困らなくなった。

hungary25-1


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