マジャールの残影 29-1

1997年5月17日 土曜日 晴れ ハンガリーに再入国スル

朝、目覚まし時計の音で目が覚めた。6時半。

朝食の用意はできていたが、時間が無いのでホテルを出発。テクテク歩いてバスターミナルに行った。

早朝のウィーンは、車も人間もまばらだ。陽光が路面に反射し、すでに眩しい。マロニエも、ライラックも花盛りだ。

ターミナルのカフェテリアで弁当用にクロワッサンを2個(9シリング)買う。ハムサンド(24シリング)とメレンジェクリームコーヒー(20シリング)で朝食。ホテルだと朝食に30分~1時間かかるが、5分で済んだ。

バス停に行くと、ブダペスト行のバスが3台あった。どれに乗って良いか分からぬので、運転手に切符を見せると教えてくれた。

7時。定刻にバスはターミナルを滑り出る。スエーデン製、2階建てのピカピカのバスは快適。

週末のハイウェイは、自転車を積んだ車やキャンピングカーが目立つ。見渡す限りの平野に人影はなく、時々野ウサギを見かける。緑の麦畑がどこまでも続く。その中に菜種の畑がレモンイエローのカーペットのように広がっていて美しい。

国境に8時頃着いた。

イミグレーションの1kmくらい手前から車の列が続く。「マジャール」という看板はあるが、「ハンガリー」という標識はどこにも無い。元々この土地はマジャール族の物であったのだから、無理もない。ハンガリーという国名は、征服者によって勝手につけられたものなのだ。

ほどなく厳めしい係官がバスに乗り込んできて、パスポートのチェックが始まった。しかし若い係官は思ったより愛想良く、日本語で

「コンニチハ」

と挨拶し、チェックが終わると

「アリガト」

と言って立ち去った。

終わってホッとする。チェックの厳しいボーダーは、いつでも嫌なものだ。

hungary29-1


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