マジャールの残影 36

1997年5月24日 土曜日 小雨のち晴れ

朝の10時頃にホテルから近くのカフェに茶を飲みに行く。

ここの店は珍しく、美味いコーヒーを出してくれる。ティーはドンブリみたいに大きなカップで出てくる。これはウィーン式だ。

店の中でスケッチした。

カプチーノと大カップの紅茶で150Ftだった。

その後広場の近くのシェレーゼで朝飯。

私はホットドッグとキシフルーチェ(甘口の白ワインを炭酸水で割った飲み物)。フミコはサンドイッチにソーダビズ。ビズとは水の事なり。全部で175Ft(150円くらい)と安い。ここのハムエッグは卵が2個入って130Ft(100円)、目玉焼きは70Ft(56円)、ホットドッグは80Ftくらい。

食べ物は店によってずいぶん値段が違う。しかし、中身はそんなに大差ない。高級レストランだからと言って、特別に美味とは限らない。その辺が面白い。

これは世界中のどこに行っても、同じことが言える。あそこの店のあれが美味いと聞いて、行って、食べて、ガッカリする事は多々ある。自分で探すしかない。

帰る途中、写真を撮り、ピザリアで茶を飲みながらガラス窓越しに外の風景をスケッチする。ピザをぶら下げてホテルに戻った。

主人にコーヒーをご馳走になる。ピザを焼き直してくれた。

昼寝の後、窓の外の風景をスケッチした。

夕方、丘の方に散歩に行く。美しいガーデンペンションがあった。丘の向こうは広々とした耕地とブドウ畑が広がっていて、北海道を思い出した。途中の店で生ビールを1杯。

城の周辺をめぐるが体調が悪いのでそのまま食事もせずにホテルに帰った。だいぶ心臓が悪いようだ。異郷にあっては心細い。

幸いフミコがいてくれるから助かる。彼女も、私が心身ともに不安定なので心配だろう。日本に帰ったら、医師に見てもらうしかなさそうだ。年貢の納め時というやつだ。

ハンガリーは疲れる国だ。フミコもそう言っている。今回の旅はストレスが多くて、体調も悪くなった程だ。

緊張感が強いのは何故か?

人々は親切だが、心底から打ち解けるという事はない。人間も環境も、ソフィスティケートされてるが故に疲れる。つまり、自分のボロを隠し続けなければならないが故に、そういう事で疲れるのだろう。それと、言葉が全く通じない為に互いにコミュニケート出来ないのも要因の一つだと思う。

他には東洋人蔑視、東洋人に対する不信感みたいなものも根底にあるだろう。ペーチで会った三木君は

「日本人だと分かるとシンパティコだが、中国人と思われたら最悪だ」

と言っていた。どうも私達は身なりも質素だから、中国人と見られてるのかもしれない。日本人はもっと高等な生き物の筈だと、素朴に考えられているのかもしれない。

三木君は

「外見を日本人らしくしないと、日本人とは見てくれませんよ」

と言っていた。彼はニコンの大きな高級カメラを胸からぶら下げ、ペーチの高級ホテルに泊まって、日本人らしく振舞うために努力?していた。

私らは馬鹿らしくてそんな事はできない。三木君を取り巻くハンガリー人は、別な人種かと思うくらいチアフルだった。友達という事になるとまた別らしい。それはどこの国でも共通である。

hungary36


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