マジャールの残影 41-2

時々、カタリンの携帯電話が鳴る。彼女は相手と話しながら巧みにハンドルを捌く。

彼女はボーイッシュで、活発な女性である。都会は好きじゃなく、お金を貯めたら山の中でペンションでもやって暮らしたいと言っていた。

カタリンのアパートの近くの薬局で薬を買う。医師の処方箋にカタリンがサインして買ってくれた。発作時に使用する強力なニトロミン、それと毎日服用する心臓薬の2種類だ。全部で300Ftちょっと。安い!

カタリンにお礼を言って、アパートの前で別れた。

アパートに戻ると、同宿のドイツ人の女の子達2人がキッチンで料理を作って食事しているところだった。台所を使いますか?と聞くので、フミコが

「私達は後で使うから、どうぞゆっくり」

と答えた。

私達は部屋に入り、疲れたし眠かったので昼頃まで眠った。

起きてからフミコが言った。

「私達こんなに毎日遊んでて、日本へ帰ってちゃんと仕事できるかしら?」

私は

「僕は金を払って、わざわざ苦労しに来たような気がするよ。体の調子が悪いと楽しい事も楽しくないんだネ。仕事も旅行も同じようなもんだ」

と答えた。

実際、私は仕事をしている時のような気分なのだ。今となっては絵を描くことも私にとっては仕事だが、旅まで仕事になってしまってはつまらない。

体調が良ければ、もっと自由に旅ができるのにと思うと残念である。

hungary41-2


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