マジャールの残影 46-1

1997年6月4日 水曜日 晴れ 暖かい

朝の5時半に目が覚め、起きてしまう。

薬を飲んでいるが、かえって気分が悪くなるようなので、飲む量を半分にした。朝のうちは調子いいが、午後からは疲れる。用心して、外出してもあまり長い距離を歩かないようにしている。

外出までの間、家の中で日記と絵を描いた。

2時過ぎに外出する。アパートを出ると、外は眩しく、交通が激しかった。ストリートは人で溢れ、午後の日差しがストリートをサニーサイドとダークサイドにくっきりと染め分けている。

ここでも、白と黒の絵の具は日本の風景を描く時よりも多く必要になる(水彩では白は使用しない)。一等よく使用したのはスペインであったが、ハンガリーの初夏はそれに準ずる。明暗がくっきりとしているのは、湿度が無く、空気中の埃が少なく、空気が乾ききっているせいだろう。

私の薄いズボンやシャツは、洗ってから部屋の中に吊るしておいてもすぐに乾いてしまう。タオルなどは数時間でパリパリに乾く。これにはフミコもびっくりしていた。

しかし、洗濯物が早く乾いてすぐに片づけられるという事は、主婦にとっては気分の良いものらしい。私が去年の春にインドネシアに行った時は、その逆だった。

洗濯物を部屋の中に吊るしておいたら、3日経っても乾かずカビが生えた。それに懲りて、私は戸外に干した。驚くべきことに、日陰に吊るした洗濯物は1日経っても乾くことはなかった。2日目もまだ湿っている。それで陽の一日中当たっている場所(屋根の上)に広げて干したら、瓦の熱と太陽の熱で半日もしないうちに乾いた。

よく見れば、現地の人々は皆そうしていた。芝生の上とか、汚れてない石やコンクリートの上とか、屋根の上とかには赤やら青やら白やら、色とりどりの洗濯物が広げられ、並べられていた。

スケッチしていると、そういうものが目に映り描き込む。描き込んでみて、なるほどと感心した。スズメやニワトリやピゴー(九官鳥)あるいは犬などが徘徊しており、その連中が私の洗濯物の上にフンをポトンと落したりはせぬかと案じたりもしたが、そのような事は一度も無かった。

あの島(バリ、ロンボク)では、人間の嫌がる事を動物は(空腹でもない限り)避けていたし、動物の嫌がる事を、人間が敢えてやるという事もなかった。人間と動物と植物がお互いの領分を知っており、平和に共存していた。

農業は前近代的で、機械や農薬は使用されておらず、害虫も自分の領分を知っており、バクテリアもさほど悪事を働くような事はなかった。

hungary46-1


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