自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)2-2

1990年3月12日

昼前、ラ・ガルテラという小さな村に着く。

村の真中には大きな教会があった。狭い石畳の道を挟んで、スペイン特有の白壁の家がぎっしり建ち並び、入口の奥には美しいパテオ(中庭)が見られた。そこいらにいる人に聞きながら、パン屋で大きなパン(1個60ペセタ)を2本買った。パン屋と言っても店をかまえている訳でなく、一見普通の家なので、知らなければ見過ごしてしまう。小さな町や村のパン屋はそのようなものである。

村の外れのカフェテリヤに入って、ミルクコーヒーを飲んだ。30くらいのカミさんがエスプレッソをすぐに作ってくれた。僕らの他には、気難しそうな顔をした70歳くらいのおじいさんがビノを飲んで、カミさんと話をしていた。「ベナス・タルデス」と挨拶すると、ニコッとして、ペラペラとスペイン語で質問してくる。さっぱりわからないが、だいたい聞かれる事は決まっているので、スペイン語で「日本人デス、マドリッドから来マシタ、セビリヤに行くノデス」と言ってミュシュランの地図を見せると、「セビリヤに行くにはこういうふうに行けば良い」と地図を見ながら、親切に教えてくれた。

店を出る時、カミさんに「クワント?」と言ってお金を払おうとすると、おじいさんが手で制して、「俺のおごりだから払わんでもいい」ときかなかった。スペイン人気質というのであろう。僕らはその好意に感謝し、「グラシャス、アディオス!」とおじいさんに別れを告げ、再び国道に出て走り始めた。

スペイン人は気前が良く、イギリス人はしまり屋だと誰かが言っていたが、当たっていなくもないようだ。

強い向い風のため、なかなか進まない。昼すぎ、国道のかたわらの草地に降りて昼食。しめったスリーピングバッグ、毛布を広げて乾かし、草の上にマットレスを並べて、僕らは昼根した。

夕方5時頃、走り疲れて国道から牧場の中へ自転車を乗り入れ、オリーブの木陰にテントを張った。

人家もなく、人影もなく、青い空と緑の草原が風に吹かれているばかりであった。投げ付けて野犬を撃退するための石コロを、テントの入口にいっぱい積んだ。コーヒーを沸かし、日記を書いた。早めに夕食。僕はビノを飲んだ。妻はミントティーを飲んだ。夜、ロウソクの灯りの下で日記を書いた。

cycle2-2


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