自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)2-5

1990年3月16日

昼頃、高い峠を汗だくて越えた。

頂上の大きなオリーブの木の下で、ヌードルスープを作って食べた。ストーブをマットレスで囲んで風をふせぐと、火も消えないし早く煮える。昼寝を30分くらいして休み、出発。

登ったあとは快適な下りがある。トロッコに乗って長い坂を下るような愉快な気分で、自転車ならではの醍醐味である。

この日峠を2回越え、夕方5時頃、トルヒーリョという町に着いた。

町のはずれの小高い丘の上には、くずれかけた古城(カスティーリャ)と大きなカテドラルがあり、歴史を感じさせる町だったが、観光地らしく、我々東洋人を見てもさして珍しがられなかった。

食料品店でオレンジ、オリーブ、ワイン、パンを買い、隣のバルで妻はカフェ・コン・レッチェ、僕はセルベッサを飲んで、少し休憩。バルで水筒(1.5リットル)2本に水をつめてもらって出発。

6時過ぎ、国道から農道に下りて、キャンプ地を探す。すぐに芝生の庭園のようなテラスが見つかり、テントを張ってキャンプ。

キャンプ地を探すのは、日本よりずっと楽だ。安全性は日本と大差ないと思われる。有毒な山菜、ヘビ、毒水等に注意しなければならないのは、日本、世界共通である。妻は、昨日毒セリをかじって、半日気分が悪かった。食べていたらどうなっていたことやら…。

泥棒、強盗は都会及びその周辺が危ない。田舎では社会が閉鎖的であるため、治安が都市、周辺部より良いと言える。都市内、及びその周辺では、指定されたキャンプ場以外ではキャンプすべきでない。僕らはフリーキャンパーだが、スペインにあっても、都市及びその周辺ではキャンプしない。そういう所ではキャンプ地を見つけるのは困難であるし、駐車場、公園等でのキャンプは危険きわまりないのだ。夜ともなれば、浮浪者、チンピラ、暴走族の溜まり場となり、「ハゲ山の一夜」を味わう事になろう。

キャンプはやはり都市を遥かに離れた、山、海岸、川、原野、湖等の大自然の中でするのが一番である。静かだし、危険(人的な)が少ないし、山菜や魚も採る事が出来、それらをメニューに加えればすばらしい食事が出来る。

僕は静かで自然の美しい所ばかり選んでキャンプしている。その方がより快適で、楽しみも多いからである。ここスペインのカンポ(田舎)には、そのような場所がいくらでもあるので、そしてまた毎日晴天なので、キャンプ生活が楽しい。美しい夕焼、お花畑の中でのキャンプ。

僕はスペイン製の干し肉をナイフで切って食べながら、土地産の特製ワインのグラスを夕陽にかざしながら飲んだ。

熱いスープとパンで夕食を終える頃にはすっかり暗くなり、空には星がいっぱいだった。陽が地平線に沈むと、急速に冷え込んでくる。

テントの中に入り、9時頃寝た。

cycle2-5

(3へつづく)

本作は季刊エッセイ雑誌「生活と意見」第3号(夏)1995 に掲載されていたものを加筆、修正したものです。


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