自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)3-1

1990年3月23日

きれいな水の流れる、静かな誰もいない谷間で、二日間キャンプして疲れを癒し、再び出発した。

途中の村で買い物。バルでカフェ・コン・レッチェを飲んで、水筒に水を詰めてもらった。パン屋の前で、おじさんに写真を撮ってもらった。

このあたりは、小さな町、村のムードがとても良い感じだ。

めずらしく雨がポツポツし始めた頃、セビリヤの街に着いた。町の中心部に向って走って行くと、自転車屋があったので、スペアチューブ1本を買った。「キャップはないか」と言うと、5個もくれた。車の群の中を走る。慣れたので、怖くはなくなった。

宿探しは長年のカンが働くので、知らない土地でもどうということはない。ガイドブックに頼るより、自分のカンに頼る方が確かだ。それらしい所に行ってから、食料品店でハム、パン、オレンジを買って、おかみさんに「ドンデウナ(ハビタシオン)アルベルゲ?」と片言のスペイン語で聞くと、親切なおかみさんは、店の外に出て「あすこだよ」と教えてくれた。言葉はさっぱりわからないが、「セグンド」という言葉だけわかった。どうやら「まっすぐ行って、2番目の角を右に曲って、少し行くと小さな広場があって、そこにあるんだよ」と、言っているらしかった。

人間のカンというか、慣れはおそろしいものだ。もうかれこれ1年近くも、言葉の分からない土地を旅する間に、相手の言わんとしている事を理解し、こちらの意図を相手に理解させる術を、我々は身に着けてしまっている。
cycle3-1

彼女の言う通り(あくまでこのように言っているだろう、という推定なのだが)に行くと、そこにちゃんと宿があった。「テ・ポルサード」というのが、宿の名前だった。下のバルに入って、オヤジに「エスタ・ウステ・ウナ・ハビタシオン?」と聞くと、「ここじゃなく、すぐ横の階段をあがるんだよ」と教えてくれた。なるほど、店を出てすぐ右横に二階への入口がある。黒い鉄格子のドアが閉まっていて入れない。ブザーのボタンを見つけて押すと、階段の上のドアが開いて、おばさんが顔をのぞかせた。

スペイン人は滑稽なくらい戸じまりが厳重だ。部屋に入るまで鍵が3つも必要な所はざらである。階段の上と下で怒鳴り合うこと1分、1泊二人で1800ペセタ(2700円)、部屋は小さいが綺麗にしてあり、シャワーとビデがちゃんと付いている。

久しぶりに二人ともリラックスして、泥のように眠った。おばさんは人が良さそうなので、ここに3日泊る事に決めた。すぐに少年と青年が出て来て、二階まで自転車を持ち上げ、荷物を運んでくれた。部屋、シャワー、屋根のついた家、泥棒や強盗に襲われる心配もない。何だか夢のようだ。

 


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