自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)4-3

1990年4月1日

朝起きて窓の外を見たら、石畳の上に雨が水たまりを作り、ピチピチはねていた。このような天気が3日も続くのは珍しい。

どうしようかと思ったが、とりあえずY・Hの食堂に行き、朝食をとった。大きなカップに一杯の熱いミルクコーヒー、うまいコッペパンが2個、それにジャムとバターである。こちらはどこでも、朝食はこのように簡単なコンチネンタルスタイルである。

朝食をすませる頃には雨が止んだので、出発することにした。

向かい風が強く、走行はきつい。西の端、ビセンテ岬まで地図によれば200キロメートル位、3日の行程である。天気は思わしくなく、雨は降ったり止んだり、こちらもカッパを着たり脱いだりしながら走った。

2時頃、タビラの町に迫った。川があったので、国道から下りて川沿いの道を少し行くと、適当なキャンプ地が見つかった。すぐにテントを張ってキャンプに取り掛かる。テントにもぐり込むと雨が強く降って来た。しかし、夕方7時頃にはすっかり天気も回復、太陽が姿を見せ、テントの中は暑くなった。テントの外でのんびり夕食。

国道を走っていると、キャンピングカーに時々出会う。たいがい老人のカップルが多い。彼らはキャンプ場とリゾートを巡っている。僕らみたいに、行き当たりばったりにその辺でキャンプしたりはしないらしい。しかし、キャンプ場の使用量も無銭旅行の我々にはばかにならないので、まだキャンプ場でキャンプしたことはない。殺風景なキャンプ場が多く、とてもそこでキャンプする気にもなれない。

マドリッドを出発して3週間になるが、まだ自転車の旅行者には一人も会わない。

自転車に食糧やテントを積んでの旅は、どこかヨットで旅(航海)するのに似ている。ホテルや燃料はいらないが風次第で楽にも苦しくもなる。追い風だと早いし、向い風だと難行する。エンジンを持たないから、静かなものだ。風の音、タイヤの音が聞こえるばかりである。自転車旅行をしてみて、色々な点でヨットの航海とフィーリングが似ていると思った次第である。

僕の手製キャンピングカーでの旅と生活は、かれこれ7年にも及んだが、自転車での旅をやってみて分かったのは実に腹の減る事だ。そしてまた汗もかく。だから何を食ってもうまいし、水がとてもうまい。あまり無理をしなければ、こんなに健康に良いものはないのではないかと思った。体重も減り、体の調子も良くなった。キャンピングカーの旅はそればかりだと足腰が弱るように思う。自転車の場合は自分の肉体がエンジンなのだから、走行するだけで充分運動になり、体も丈夫になろうというものだ。

「病人はヨットに乗せろ」と言う格言があるが「病人は自転車に乗れ」と言う事も出来よう。運動不足と肥満、ストレスからくるような現代病なら、すぐに治るだろう。

cycle4-3


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