自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)6-2

1990年5月7日(晴れ)

ポルトガルの南海岸からビセンテ岬、大西洋岸を自転車で旅していた時は、毎日雨と風に悩まされ、テントで過ごすキャンプ生活は生やさしいものではなかった。しかし、その苦しさもリスボンに来てからすっかり忘れた。天気は良いし、いつでもホットシャワーを浴びることができ、外敵に襲われる心配もなく、フカフカのベッドで寝られる。ペンション暮らしは実に安楽なものだ。

しかし安楽も長く続くと嫌になってくる。損な性分だと思う。しかしこれがなければ、20年近くも旅の生活など続かなかっただろう。今頃はどこかで所帯でも持って、子供も何人かいて、普通に暮らしていた事であろう。フカフカのベッドは今では苦痛以外の何物でもなく、床の上にスリーピングバッグを広げて寝ている始末だ。この方がよく眠れるのだから、どうしようもない。荒野が俺を呼んでいる、ということだ。

しかし、当分は街でアクセサリーや絵を売って、日本へ帰る金を稼ぐ必要があるので、リスボンの街にくぎ付けだ。

仲間の話では、リスボンの郊外に森があって、その中にキャンプ場があるということなので、ペンションを引き払って、近々キャンプ場で暮らすつもりだ。一ヶ月の使用料が1万円以下というのは魅力だ。このキャンプ場には、ホットシャワー、水洗トイレも炊事場もあるし、アウトドアの好きな旅の仲間も集まっているから、旅の情報も得られるかも知れない。風の音、緑の深い木立、静けさ、鳥やビーストの鳴き声、波の音、星空、嵐、雷雨(こいつもたまにはイイもんだ)そういうものがないと落ちつかない。自然の中で魚や山菜を採って暮らし、焚き火の前で夜を過ごす。自由で気ままな生活が一番好きだ。

3日前から左目が、何かの眼病で真っ赤になっていたが、日本から持ってきた抗生物質の目薬をさしたら、良くなってきた。

夕方5時頃から、ストリートでアクセサリーと絵を売る。7時半までゼロ。嫌になって店じまい。バルでコーヒーを飲んで、街をブラブラして宿へ帰った。このあいだはポリスに追い回されて、商売出来なかったし、昔みたいに人気もなく、儲からない。まったくろくでもない商売?だ。儲けは竿屋の10分の1以下というところだ。バカバカしいけど、人に使われるよりはましだ。

夜9時頃宿に帰ると、映画会社から電話があった。テキヤの宮内シーラカンスさんに紹介してもらった、エキストラの仕事だ。向こうが英語をしゃべれないので、聞き取るのに苦労した。明日7時半に来いというのだけ分かった。場所までは分からない。とにかくOKして電話を切った。朝7時半に間に合うように、目覚ましをセットして眠った。

cycle6-2 坂の町 リスボン-ポルトガル


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