続・自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)1-2

1990年5月28日(晴れ)

空は青く、そしてテージョ河もまた青く輝いて、とうとうと流れている。

この河には、大河の趣がある。テージョ川を遡ればポルトガルを横断し、さらにスペインに入って、マドリッドの近くに達する。

昼頃ペンションを出て、カイシュ・ソドレの船着場からフェリーに乗り、河を渡った(片道65円)。渡河の旅はわずか20分足らずだが楽しい。大きな汽船やヨットが航行している。河の真ん中辺は潮流がきつくて、船も斜めに押し流されながら走るほどだ。フェリーの船首と船尾に客室があり、中央部は広いデッキとなっていて、車やオートバイが乗る。ほどなくメリダスに着く。

河岸に沿って海の方へとブラブラ歩いた。今日は日曜とあって、河岸で釣りをしている姿があちこちに見られた。河岸は、所どころに小さな桟橋があって、貨物船や漁船、ヨットが停泊している。

倉庫と波止場の間の狭い石畳を歩いていくと、古いバルが一軒あった。中は暗く、ひんやりしている。

オヤジは珍しくスペイン人で、威勢が良い。ティントをしこたま飲んでご機嫌だ。ポルトガル人は客の前ではあまり飲んだりしないが、スペイン人のバルでは、亭主が酒を飲みつつ商売するのが普通である。背が高くてやせていた。小さな店だがムードがある。

片言のスペイン語で話した。オヤジはガリシアの出身だそうだ。オヤジは「俺のおごりだから飲めよ」と言って、甘い果実酒をグラスに注いでくれた。

そのうち、何か用事でもあるらしく、店の奥に行っちまった。パンを食べ、空腹を満たしてるうちに客が一人やってきたが、「セニョール!」とオヤジを呼んでも出てこない。客の方も別に慌てるでもなく、のんびりしたものだ。

そのまま店を出て、河岸に沿って歩いた。大きな古い鉄製の漁船が桟橋に横付けされて、手前の方の桟橋で三人の男が釣りをしていた。河の向こうにはリスボンの街が小さく見える。

絵になるので、そのままスケッチを始めた。彼女は少し離れた所で河をのんびり眺めてる。今日は絵を描くよりボーっとしてる方が良いとのこと。2時間程で描きあげた。

我ながらうまく描けた。途中でバランスを崩す事が多々あるが、これは思い通りにスラスラ描けた。そこから再びさっきのバルに戻って、コーヒーを飲んだ。

横にいた客が「一杯飲めよ」と、グラスに自分のワインを注いでくれた。20年物のワインでなかなか美味しかった。結局3杯飲まされ、良い気分になってしまった。

彼女はそこから一足先に帰った。僕は店を出たところで再び絵を描いた。色を付け始める頃に、陽が陰って輝きがなくなってしまったので、そのまま絵の具をしまって家に帰った。

皿に盛ったサクランボをつまんでいると、彼女がシャワールームから出てきた。僕も熱いシャワーを浴び、それからワインをグラスに注いで一杯やった。腹が減って夕食まで待ちきれぬので、卵のスープとパンを食べた。その間に、彼女が親子丼を作ってくれた。

日本の事を懐かしく思いつつ、親子丼を食べた。とりとめもなく彼女とおしゃべりをしているうちに、二人とも眠くなり、そのまま朝まで眠った。

cycleNext1-2


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