続・自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)3-7

1990年7月28日 モンサントのキャンプ場にて

プールサイドのバルでエドワルド君に会った。彼は、このキャンプ場に住んで5年になる。彼は、レザークラフトを作って街で売っている。ここのキャンプ場でも、レストランの横にあるお土産屋で彼の作品が売られている。そして彼は、ストリートミュージシャンでもある。

年は若いが頭が少し禿げている。エドワルド君は最近ひげを全部剃り落してしまった。立派なあご髭がなくなったので、視線がどうしても禿げの方に行ってしまう。前の方が良かった。

一緒にコーヒーを飲みながら、トップレスのネエちゃん達がプールサイドで日光浴したり、泳いだりしているのを眺めながら、英語で彼と話した。裸のボインも、見慣れてしまうと刺激的なものでなくなってしまい、何とも感じなくなってしまう。ヨーロッパのプールサイドやビーチではトップレスは日常的なもので、大騒ぎする人間もいない。

エドワルドが、今夜俺の所でコンサートをやるから来ないかと言った。エドワルドのキャラバンがどこにあるか知らないと言うと、ついて来いと言うので一緒に行った。

僕らのテントから500mくらい離れたエリアの一角に、彼らのキャラバンがポツンとあった。そこだけ周囲と離れて静かだった。キャラバンの前には、椅子とテーブルが並べてある。キャラバンは古いが大型で、住みよさそうだった。ベッドルーム兼リビングルーム、キッチン、それに彼の仕事場があつらえられ、そこいら中に彼の作品が置いてあり、壁には色々な道具類がぶら下がっていた。

ここが、彼のアトリエであり、住居だった。キャンプ場の中のアトリエ。何となく面白い感じだ。

皮で作った人物の顔(フェイスマスク)、皮のレリーフ、手作りの様々なアクセサリー、絵などを見せてもらった。とにかく彼は、ものすごく器用な男という感じがした。センスも良かった。「これらの作り方を後で教えてやる。でも他の奴には黙っててくれ、これは俺の秘伝なんだ」と、エドワルドは言った。

夜になった。食事の後、彼のキャラバンを再び訪ねた。しかし彼はいなかったので、しばらくその辺りを散歩してから行ってみた。オランダ人の姉妹がいた。エドワルドは僕らを探しに行ったと言う。エドワルドのギターでフラメンコを弾いてると、彼が帰ってきた。ポルトガル人の二人の友人も一緒だ。

オランダの姉妹が、スティービー・ネスの曲を唄った。姉の方がギターを弾いた。デュエットが美しい。エドワルドはギターとハーモニカを使い、楽しそうにディランの曲や、ブラジルのサンバを唄った。ポルトガル人の二人の友のうちの一人は実に芸達者で、歌も上手いがギターも巧みだった。

少し下のテントハウスに住んでる若い黒人が、ビノを持って遊びに来た。彼はジンバブエからやって来たサバ君。陽気で人が良い。学生だという。

寒くなったので、キャラバンの中にみんなで入った。エドワルド君と友人は、2丁のギターを上手くハモらせて、素晴らしいブルースを聞かせてくれた。全員ストリートミュージシャンだからもう大変。いつの間にか夜は更けた。自分らのテントに戻ったのは夜中の2時だった。まだ起きてる連中もいて、彼らはプールサイドや広場で仲間と一緒に騒いでいた。

夏の夜はこんな風と、楽しむのが一番である。月の光が、楡の高い梢を青く照らしていた。

ガードマンが、ハンディートーキーをガーガー鳴らしながらテントサイトの中を廻り、林の中に姿を消した。

cycleNext3-7


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