続・自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)4-2

1990年7月31日

朝、少し寒いくらい涼しい。夫人がコーヒーとお茶漬けを用意してくれた。ありがたい思いで頂いた。彼女は一足先にセシンブラへ出かけた。

食事の後、パッキングして牧師の家を出発した。街道に出る。再び強風と上り坂。一時間くらい、押したり漕いだりして峠を越えた。遥か下に青い海が見えた。強い風のために白く波立っているのがわかる。ヨットが走っているのが見えた。

ロカ岬からシントラへと向かった。すごい山地で、美しい土地だ。

緩い坂をジリジリと上って、昼頃、名も無い小さなキャンプ場に着いた。受け付けはあったが管理人は見えない。キャンプしていたオランダ人のカップルに聞くと、「管理人は夕方に一度来るだけ。だから好きな場所にテントを張ると良い」ということだ。大きなプラタナスの木の下にテントを張った。

テントが6つ、キャラバンが1台あった。簡単なシャワーと水洗トイレ、流しがレセプションの裏にあるきりで、珍しくシンプルだ。面白い事に、キャンプしてるのはオランダ人やドイツ人ばかりであった。シャワーは水しか出ない。バルもレストランもプールも無いキャンプ場は、こちらでは珍しい。

スペイン人やポルトガル人のキャンパーは、バルがないと落ち着かないようだ。キャンプしていても、彼らは一日に何回となくバルに足を運び、レストランで食事していた。それが彼らの楽しみ方であるのだろう。ポルトガル人は浪費型で、貯蓄は苦手なのだ。スペイン人も御同様である。

バルでコーヒーを飲む時、彼らは砂糖を山のように入れて飲む習慣があり、どこでもDELTAというトレードマークの砂糖のパックが2個ついてくる。スペインでは同じものが1個ついてくる。というわけで、虫歯が多い。

それと、松葉杖で歩く姿が目立つ。坂が多く、建物の床も道路も全て石が敷きつめてあり、滑りやすく硬いという条件が原因しているのかもしれない。実際、雨で濡れた石畳の道はよく滑り危ない。石の階段を歩く回数は我が国に比し、非常に多いのだ。もちろん滑りやすいし、転べば大怪我する。

ヨーロッパの都市は、その面積だけから見るととても小さい。しかし、立体的で空間は無駄なく使われている。水平でなく、垂直に広がっているのは、そのほとんどが城塞都市であったからである。荒野としか言いようのない夏枯れの平原地帯を走ってゆくと、小高い丘の上に、古い城壁に囲まれた町が突然現れてきたりして驚かされる。それはあたかも、海の上に浮かぶ島のようでもあるし、砂漠の中のオアシスみたいにも見える。交通手段が発達してなく、また盗賊や山賊の多かった昔の旅行者には、それがオアシスに見えた事であろう。逆に、その城塞都市から外へ旅に出てゆくということは大変な事であったと思われる。

バルのない山の中の小さなキャンプ場は、日本のキャンプ場にキャンプしているようで気持ちが落ち着く。

晩飯は、日本から友人が送ってくれたインスタント味噌汁と、レトルトパックの牛丼だ。懐かしい味、良き友はありがたい。味噌汁には、ポルトガルの海岸で拾った昆布を入れたがなかなか美味い。カラカラに乾してからビニールの袋に入れて持ち歩いているが、なかなかイケるのである。ポルトガル人は海の幸が好きだが、昆布は食べないらしい。

昨夜は久しぶりに人家に泊まったが、よく寝れなかった。しかし、今夜はよく寝れそうだ。慣れとは恐ろしいもので、自分のテントの中の方が落ち着くし、フカフカのベッドよりもスリーピングバッグの方が気持ちよく眠れる。

今夜もフクロウが森の中で鳴いている。ホーホー、ホーホー、スリーピングバッグの中でそれを聞いているうちに寝てしまった。

cycleNext4-2


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