続・自転車旅行(スペイン・ポルトガル編)4-6

1990年8月4日

ヨーロッパのキャンプ場では、常に数ヶ国語が話されている。これも我が国では考えられぬ事だ。

ヨーロッパ人の中には、数ヶ国語を自由に話す人はざらにいる。ポルトガル語が喋れればスペイン語、フランス語、ルーマニア語、イタリア語などを覚えるのは難しくない。これらの言葉は共通な部分、似かよった言葉を使用しており、東北弁や関西弁という感じである。ドイツ人がオーストリア語、オランダ語、スイス語などを喋るのも同様の理で、大した努力を必要としない。

我々日本人が欧米の言葉を覚えるのは、彼らが日本語を覚えるのと同様、多大の努力を必要とする。だから、彼らが3ヶ国語や5ヶ国語を自由に喋れてもどうと思わぬが、日本語や中国語などを勉強している欧米人を見ると尊敬の念を覚える。

しかし、ほとんどの欧米人は東洋の言葉など勉強しない。東洋に興味を持ち、深い知識を持つ人は稀である。日本人の方がはるかに欧米の歴史、文化、科学、芸術などに対する(常識としての)知識を持っている。

これに対し欧米人は、自分の国の事しか知らぬ人間がほとんどと言っても良いくらいだ。ひとつは、彼らの教育レベルが低いせいでもある。ピラミッド社会だから、大学まで進む人間はほんの一握り。中卒、せいぜい高校までか職業学校卒がほとんどである。

そしてまた、日本人のように好奇心がやたらに強いという事もない。日本人の旅行好きは、単に金持ちの趣味ではなく、この旺盛な好奇心に根差していると思う。外国に行ってカメラで何でもかんでも写真を撮りまくるのも、その現れではないかと思う。カメラを持ち歩くのは、何も日本人ばかりでない。欧米人もみんな、首にでかいカメラをぶら下げて観光している。

日本の茶の間でテレビを見ていて感ずるのだが、自分たちの住宅事情、サラリー、バカンスなどを問題にする時、必ずヨーロッパやアメリカの実情と対比してレポートしている。国外の事情に対する興味が一般に強いからだ。

開国以来、日本人は欧米の文化、科学などの吸収に絶え間ない努力を続けてきた。日本人はそれを猿真似したのではなく、それらを完全に理解した上で、さらに改良を加えてきた。400年前、ポルトガル人が火縄銃を我が国に伝来した時、その兵器としての有効性を大いに認め、わずか9ヶ月後にはそのレプリカを日本人の手で完成したのである。さらに数年後には、ポルトガルの火縄銃を凌ぐ性能とデザインの和式火縄銃が量産され始める。これを見て、当時のヨーロッパ人は非常に驚いたという。それは当然の事であろう。

ヨーロッパ人の日本に対する知識は皆無に近い。したがって、日本に対する誤解も多い。日本はもっと積極的に我が国の自然、文化等を国外にアピールすべきだ。それによって、我が国と外国との溝もかなり解消されるはずだし、また観光客も増えるだろう。

海外からお客さんの受け入れ体制もまったく遅れている。英語の標識、案内図、インフォメーションをもっと徹底させれば、外国人の日本国内の旅行もかなり楽なものになるはずだ。楽になれば、外国人の訪日も多くなる。

今日では、英語がすっかり国際語になってしまっている。ヨーロッパ人も(あのフランス人でさえ)外国を旅行する時は、否応なく英語を喋っている。このキャンプ場でも英語が共通語である。

残念ながら、日本人はほとんどの人が(読み書きは出来るが)英語を喋れない。これでは日本人が国外へ旅する時、そして外国人が我が家に訪ねてきたり、道を訊かれた時などの対応が出来ず不自由である。だから英語教育の会話と読み書きの対比を2:8から5:5ぐらいにすべきだ。日本が国際社会の中で上手くやって行く為にも、それは急務である。

我々が英語を学ぶという事を、英国の被支配者となる事と混同している人達もいるが、今や英語を自由に喋り読み書き出来るという事が、国際社会の一員である為の条件なのである。

cycleNext4-6


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