中国・シルクロードの旅 6

china61989年5月20日

昨夜からの雨がホテルの窓を叩いている。

下を見ると、闇ドル屋の少年が雨の中に立って外人旅行者に声をかけている。この辺りはホテルが多いので、闇ドル屋が沢山たむろしている。

中国を旅する外国人は兌換券という特別の金券が両替される。これに対して一般に流通している通貨は人民元と呼ばれ、町で買い物したりバスに乗ったり食事をしたりする時に必要となる。兌換券が通用するのは、外人専用のホテルとか、飛行機や汽車の切符を買う時や、高級デパートやレストランくらいなものだ。

以前は、一歩ホテルを出ると兌換券ではミカン1個買えなかったが、最近は事情が変わってきた。中国人の生活も贅沢になって来て、外国製品(テレビ、カメラ等)を買うのに兌換券が無いと買えないため兌換券の闇の値段が上がり、今では闇のレートは1.5~2倍と言われる。

つまり、100元の兌換券は闇で150~200元の人民元と両替が可能なのだ。もちろん違法であるから見つかれば罰せられるし、闇の両替屋に慣れない旅行者は騙されたり金を持ち逃げされたりしている。終戦直後の日本にもたくさん闇ドル屋がいたが、あれと全く同じである。

イカサマの手口はいろいろある。一番多いのは、目の前で札を数えて客にちゃんとあると確認させ、渡す時に札束を半分に折ってよこす。その時には中身が1/3から1/2くらい抜き取られている。一種の手品である。その時に「ポリスだ!」と叫んで、こちらが慌てる隙に持ち逃げしたり、別のトリックを使う事もある。

目の前で20枚の札を数えてよこしても、後で数えてみると15枚くらいしかない。後で2つ折りにした札が何枚か出てくるのだ。目の前で数えてよこしたものを、もう一度自分で数える人は滅多にいないだろう。そこを突いてくるのだ。

通りを歩いているとタクシーの助手席に乗った闇ドル屋が声をかけてくる。この場合は運転手とグルになってる。交渉が成立すると相手は札束をポケットから出しこちらに渡すふりをし、こちらに「お前の金を渡せ」と言ってくる。くれると思ってここでうっかり先に渡したら、運転手がすかさずアクセルを踏み、そのままGoodbyeだ。追っかけたって相手は車だ。追いつく訳がない。

もっとひどいのは、バンコクやマニラなどで闇ドル屋がポリスと組んでる場合だ。両替してる現場にポリスが来て、両替した金を取り上げられた上に高額な罰金を要求される。これなんかまったく泣きっ面に蜂である。

しかし最も危険なのは、両替屋がポリスを警戒してる振りをして、ここではまずいから後に付いて来いというゼスチャーをする。迷路の中を歩かされ、どこかの地下室みたいな所に案内してくれる。

そこには怖い兄さん達がたむろしてる時もあれば、頭の禿げた、でっぷりと太った親父がテーブルに掛けている場合もある。テーブルの引き出しからピストルが取り出され、冷たい銃口がこちらに突き付けられるという塩梅だ。抵抗しなければ命だけは助かる場合もあるが、下手に暴れたら、樽にコンクリートと一緒に詰められて海の底でお魚ちゃん達と暮らす事になるという訳だ。

やばいと思ったらさっさとずらかる事。それと、相手の金を数えて自分の手に握ってから相手にこちらの金を渡す事。これが闇ドル屋と付き合う鉄則なのだ。


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