中国・シルクロードの旅 10-1

china10-11989年5月28日

汽車は昆明に向かって走っている。

早朝、車内で夜を過ごした人々は一様にぼんやりとした顔で通路や外を眺めている。この汽車に乗るまでが一苦労だった。

昆明へ行く為に切符を買いに行ったのは3日前だった。バスで行く予定だったので、駅の近くのバスセンターまで行った。これは地図に載っていたので、割と楽に見つけることが出来た。

昆明行のバスがあるのを表示板で見つけ、紙に行き先、バスのナンバー、出発時刻などを書き込んで(なんでお客がこんなところまで自分でいちいち調べなきゃと思いながら)窓口に出した。

係の女性はなるべくサービスしまいという精神の旺盛な、典型的中国官吏の生粋の血統書付きというやつだ。尊大な態度で、目を吊り上げ何やら喚くと紙切れを突っ返して、そんなもんじゃない投げ返してきた。親切心というものは完全に欠如している。

こっちも負けてはいられない。昆明の近くまで行っている別のバスを指定する。すると「お前は日本人か」と言う。もちろん全部筆談で事は行われているのだ。そうだと答えると、すかさず「外国人はバスに乗ることを禁止されてる。飛行機で行きなさい」ときた。「冗談じゃないよ。バスで旅行することが禁止されてる訳がねえだろ、このバカヤロー!」

後は梨の礫と言うことになった。それにしてもひどいものだ。船、バス、鉄道すべての窓口が外国人、中国人に関係なく乗客に対してこうなのだ。官僚主義の欠点を露骨に見せられる思いである。

たまには飛行機もいいかと気が変わって、隣にある民航に行ってみた。オフィスは休みでもないのにシャッターが下りている。裏口から中に入ると事務員が2人いた。ここでも英語は通じない。筆談の結果、何のことはない昆明行の飛行機が飛ぶのは1990年からということで、こちらも思わずぽかんとしてしまった。航空路線図にはちゃんと南寧と昆明を結ぶ線が書き込んであるからだ。

すべてがかなりいい加減…日本の感覚でいると、毎日朝から晩まで腹を立ててなければならない。それでは病気になってしまう。「ローマにあってはローマに従え」という非凡なる格言もあるではないか。僕はその格言に従うことにした。

広州で買った中国製の旅行用地図「中国旅遊図冊」をもう一度調べてみる。これには全ての鉄道の路線とバスの路線が詳しく書き込まれていて、大変有用なものである。

もう一度バスターミナルに行く。「宜山(イーシャン)」これだ。宜山からは昆明へ鉄道でつながっている。宜山行の窓口は6番、バスターミナルの中には1~6番まで行き先別に窓口がある。はじめに喧嘩したのは1番の窓口だった。6番なら別の窓口だから係員も違うからチャンスはある。実は1番で断られた時に、とっさにその手で行く事を考えていた。

「我去宜山、要車票2張」と書いて、今度はフミちゃんが窓口に行った。彼女は普段はボーとしてるが、こういう時は上手くやってのける。すぐには帰ってこない。僕が半ば諦めかけた時、「やっった、やった!」と切符を2枚手に持って戻ってきた。これでやっと南寧を抜け出せる。


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