中国・シルクロードの旅 17-2

china17-2僕はラーメン党だから各地で色々な麺類を食べてみた。日本のラーメンと同じものはどこにも無かったが、中国には面白い麺がいっぱいある。ラーメンとはすなわち手で引っ張って作る麺という意味で、機械などで作る日本のラーメンはそれに相当しない。

本物のラーメンのふる里は蘭州である。

蘭州ラーメンを食べさせる店に行くと、職人が台の上でせっせと油を使って粉を練っている。水ではなく、油で練るためくっつかない。適当な大きさの塊を両手で掴んで、両手をあやとりをするみたいに動かしている。見る間に空中でラーメンが出来上がってゆく。出来上がったラーメンをさっと投げると、それが湯のたぎる大釜の真ん中に落ちる。その一連の動作はまるでマジックのようで、見ていて楽しい。

ラーメンが茹で上がると、ザルで掬って丼に入れる。その上にスープを掛け、ラー油、ピーナツ、ザーサイ、チャーシュー。ネギ、茹でた油菜(菜っ葉)などをたっぷり乗せてテーブルに持って来てくれる。とても辛いがなかなか美味い。

四川省の名物に刀削麺というのがあって、成都に滞在する間、毎日食べていた。日本の手打ちうどんのような物だと思えばよい。

粉を水で固めに練って、お茶筒のような円柱状にした塊を左手に乗せ、ブリキ片を持って素早く削ると細長いうどんとなって湯のたぎる鍋の中へ飛び込んでゆく。欠片(うどん)が機関銃の弾のように次々と空中を飛んでゆく様は中々の見もので面白い。茹で上がるとザルで掬って丼に入れ、茹でた菜っ葉やザーサイ、刻んだ参照とネギ、ラー油、醤油、一番最後に塩味のミートソースを上からかけて出来上がり。

食べる時、箸でよくかき混ぜてから食べる。痺れるような辛さは山椒と唐辛子がたっぷり入っているからで、日本では激辛の部類に入るが、土地の人はテーブルに置いてある唐辛子の粉を更にたっぷりと掛けて食べるのだから驚きだ。

こういう手作り麺を食べさせる店は何処にでもあるという訳ではなく、製麺機で作った麺(面条という)が一般的である(これは日本の塩ラーメンに近い)。

他に有名なものとして、担々麺というのがある。茹でた麺に唐辛子のスープ(醤油味)を少しだけかけてある。食べる前に箸でよくかき混ぜてから食べる。これももちろん激辛であることは言うまでもない。

こちらの人がよく食べるのに、冷麺がある。これは、茹でてから放置して冷たくなった麺に唐辛子のスープを掛け、ザーサイや肉片やモヤシなどを載せたもので、暑い時などこちらの方がうまい。

夕方、汽車は玉門(ユーメン)に着いた(3日目、夜8時)。外はまだ明るい。この辺では暗くなるのは夜の10時頃である。
少し手前のチュウチュワンで北の方に万里の長城(終点)を認めた。かつてはここまでが漢族のエリアであった。此処から先は匈奴の支配する地であった。

汽車の左手には雪を頂いた。天山山脈が望まれる。天山山脈の裾まで、茫漠たる砂漠が続いている。張騫、玄奘三蔵、マルコポーロ、甘英らがこの地を訪れている。

シルクロードは東洋と西洋とを結ぶルートとして長い間栄えたが、14世紀に至ってオスマン帝国がイスタンブールを征服、支配下に置いたため、東西の通商が困難になった事、バスコ・ダ・ガマのインド洋航路発見により、海路による通称が可能となった事が安全面やコストの点で陸路より高い利益をもたらした事などにより、シルクロードの重要性は失われ、15世紀以後シルクロードは空白地帯として忘れ去られたのである。

汽車はすぐに玉門を離れ、西の彼方ウルムチに向かって走りだす。「西の方要関を出ずれば胡人なからん」の詩の一節が頭に浮かぶ。今は楽だが、昔の人はこの地から西方に行くという事は決死的な冒険であったに違いない。

日が西に傾き地平線に沈んでゆく。我々を乗せたSLは黒い煙をなびかせて、まっしぐらに太陽を追ってどこまでも進み続ける。

時々ラクダの群れや羊の群れを見る。

泥造りの中庭を持つアラブ風の民家の、平べったい屋根の辺りから夕餉の煙が上がっている。人々は一日の仕事を終え、食事をしているのだろう。

民家の横の草地では、一日の仕事から開放されたロバが草を食べていた。時計を見るとすでに10時半を回っている。朝の6時頃になると夜が明け始め、人々はもう外に出て草を刈ったり羊を追っている。昼寝でもしない限り、全員寝不足で倒れてしまうに違いない。


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