旅の記録 印度編 4-2

india4-2

ボートの中には彼の家族がいた。太った母親とお腹の大きい姉と子供がいた。

暗いランプ、狭い船室、ペラペラのカーテン、ギシギシと歩くたびに鳴る床、トイレの臭いがプンとする薄暗い寝室と続き、最後部は小テーブルと椅子のあるシッティングルーム。ドアを開けると狭いスターンデッキ、デッキの向こうには湖水と沢山のハウスボートと水路を行きかう小さなローボートが見えた。ハウスボートの窓から漏れる灯が水面に映って揺れていた。

彼のハウスボートには看板が無かった。多分モグリ営業に違いない。もちろんグルシャンローズではないが、彼の家族を見た時なんとなく人が良さそうな感じであったので、2食付きで1人1泊40Rsで泊まる事にした。1泊200Rsもするハウスボートはザラだから安い。

しかし火の気がなく、ひどく寒かった。しばらくすると、この地方の独特の携帯式コタツとも言うべきカングラを持ってきてくれた。カングラで足を温め、ジャスミン茶を飲んだ。

ここの飲料水は全て船からバケツを湖水におろして汲んだものだ。トイレはもちろん垂れ流しと来ている。この辺りの水深は1m足らずで流れもないから、汚水を飲んだり浴びたりしている訳だ。慣れないとひどい眼病に罹ったり下痢をする。水は変な味がしてとても我々には飲めなかったし、飲もうなどとは思わなかった。

夕食は不味いカレーとライスが少しだけ。お代わりもこっちから要求しなければ貰えなかった。

モハメッドは割合親切だったが、家族はそうでもなかった。宿を変えても良かったが、明日にでもフライトがあればラダックへ飛ぶつもりだったので、安いからいいやと泊まる事にした。

夜中に足元がやけに熱いので目が覚めた。なんだか焦げ臭かった。

布団をはぐってみると、布団の中に入れてあったカングラ(コタツ)がひっくり返ってその辺の所が真っ赤に燃えていた。火事だ!

水筒の水をぶっかけて消した。毛布、布団は黒く焦げ、手の平大の穴が開いてしまった。おまけに下の絨毯も黒焦げになっていた。

これはしまった!モハメッドとその家族は怒るだけでなく、チャンスとばかりに高い金を要求してくれるに違いないと思うとなんだか心が暗くなった。

しかし布団も絨毯もボロ同然の代物なのだから、金を要求してきたら値切れば良い。逃げ出すのも良い方法だったが、土地に不案内だしモハメッドはしつこい男なのでどこまでも追ってくるに違いなかったのでやめた。


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