旅の記録 印度編 10-2

india10-2途中、山の中のマウンテンピープルの部落を通り抜けた。何千年も昔と変わらぬ生活、風俗、習慣がちゃんとそのままそこにあった。

しかし屋根の上にキラリと光る物を見て、僕はショックを受けた。それは紛れもなくテレビのアンテナだった。昔、ネフード砂漠の真ん中の部落でコカ・コーラの看板を見た時と同じショックだった。時代の波はこんな所にまで押し寄せているのだ。

テレビは人々の心を、生活様式を変えてしまう決定的なものである。古い文化、生活様式はテレビによって砕かれ、失われていってしまうだろう。

僕は、心の中に一種の寂しさと痛みを感じないではいられなかった。

小学校6年生の時、僕の住む村に初めてテレビが姿を現した。そして何年か経つと、若者は村から姿を消し祭が出来なくなり、村は寂しくなっていった。かわりに車が増え、スーパーが出来て、土ぼこりの道はアスファルト道路になり、村は落ち着かない、それでいて楽しくもない存在になってしまった。

「便利にはなったけど、楽にはならないね。忙しくなっただけよ」と母はこぼしていた。

time is moneyの時代の到来は、インド社会を変えていく。それも急速にそれは進んでいるのだ。インドの農村にテレビが出現した日から、それは加速度を増していると言ってよい。テレビはそのマスメディアによって、ローカルカラーというものが人々の間から失せて行く。そしてトランスポーティングの発展がそれに拍車をかけるという訳だ。

便利な生活、それは我々から心の豊かさを奪い、我々の時間を蝕み、思考を麻痺させ、肉体を衰えさせ、宗教心を薄れさせ、地球そのものを汚染し、破壊していくものである…という事に人々は気づいていない。


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