旅の記録 印度編 10-3

india10-3ナベマウンテンの頂上に午後3時半に到達。山の頂上にはケルンがあり、夏の間に使用される石造りの羊飼いの小屋と畜舎があった。

雄大なヒマラヤ、そして遥か下にキラリと光る川、道路がうねっているのが見えた。

ナベマウンテンの頂上からマクロードガンジの方向に、深い谷が切れ込んでいた。この谷は望遠鏡でよく観察できなかった所だ。しかし、この谷を下りれば同じルートを引き返すよりはずっと短時間でマクロードガンジに行けるだろうと思った。

谷は急激に落ち込んでいて、崖が隠れて待ち伏せていると考えられた。しばらく谷を観察し、大体のルートを決めて下る事にした。

斜面は岩と石ころと草からなっていて、非常に急で危険だった。注意深くそこを下り、灌木の中を狭い水の枯れた谷に沿ってさらに下ると、いきなり灌木が切れ崖の上に出た。どうしても下りれないので灌木に掴まって崖の淵をトラバースして、10分の藪こぎで下に下りれる場所を見つける事が出来た。

そこから更に下ると、夏の間に使用する羊飼いの小屋があった。そこで少し休んだ。この辺りはヒマラヤ熊が住んでいる。

もう夕方になっていた。マクロードへ行く谷へ下りれなければここに引き返してビバークする事に決め、さらに進む。

膝がガクガクする。水筒の中も空だ。

谷はU字渓谷で、途中まで下ると崖となって切り立っており、底へ下りる事が出来なかった。諦めずトラバースしながら藪こぎして、崖の崩れているガレ場か谷底に下る痩せ尾根がどこかにあるはずなので、それを探した。運良くすぐガレ場を見つけ、苦労して谷底に下りる事が出来た。

頂上からの観察では、谷底から反対側の斜面を少し登ると、そこに谷をトラバースしてマクロードへ向かう山道があった。谷底を少し歩いて上に登る場所を探すが、谷は切り立った断崖の底にある為、なかなかルートが見つからなかった。

谷を少し下ると、コンクリートの大きな貯水槽らしき古い構築物があった。これを造る時に作った道があるのではないかと考え、それを探してみた。暗くなりかけて、足元が良く見えなくなってきていた。

それはすぐに見つかった。谷の流れを渡り、その道を伝って谷の反対側の斜面を登る。斜面と言うよりはほぼ垂直の崖だ。岩に刻まれた山道の幅は、人がやっと一人通れる程しかない。懐中電灯も無く、不安な思いで断崖をトラバースして進んだ。

しかし、途中でその古い山道は消えてしまった。少し先に行けば続いてるかもしれないと思って、先に進んだ。

それは崖をトラバースする動物の道らしかった。灌木の枝や草の根に掴まって少し進むと、そのけもの道も消えた。下はズルズル滑るし、滑ったら一気に下の谷底に転落、あの世行だ。それでなくても、このあいだ誰かが熊にやられたばかりだ。元の場所に冷や汗を流しながらなんとか戻り、もう一度よく調べてみた。

上の方へは崖でとても上がれない。しかし、谷底へはガレ場になっていて下れそうだった。


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