旅の記録 印度編 10-4

india10-4下るしかなかったので恐る恐る下った。そこから15m下った所で突然、山道の上に出た。これだ、見つけたぞ!もう大丈夫だ、この谷から抜けられるよと彼女を励ます。しかし僕にも自信は無かった。地図なんて初めから無いし、この谷は我々には全く未知の場所だった。

その道はU字谷の絶壁をトラバースして谷の出口へと向かっていた。しかし途中でまた途切れているかも知れなかった。そうなったら…この谷の中でビバークして、明るくなってから再行動しようと心を決めた。

下を見ると、ずっと下の暗がりの中に激流が牙を剥いているのが見えてぞっとした。足元はなんとか星明りで見る事が出来た。早く月が出る事を願った。滑り落ちないように注意しながら、歩き続けた。

2時間くらい歩いて、ようよう人家の灯を見つけてホッとした。我々が脱出してきた谷にはヒマラヤ熊がおり、ついこの間もマウンテンピープルがやられた所であった。僕らはライフルも無かった。大型のナイフと爆竹で相手を撃退できるかどうか心許なかったので、途中不安だった。しかしもう大丈夫だ。

でも、そこから急に道が無くなった。深い森の中にいた。我々のいる所と人家の間には深い谷が待ち構えていた。どうやって下り、どうやって登るのか、真っ暗で何も見えず見当がつかなかった。

しかし目を凝らしてじっと見ているうちに、おぼろげに山道らしきものが見えてきた。足で探りながら、めくらの如くそれを伝わって前へ進んだ。

なんとか谷を渡り人家に辿り着いた時は、二人とも半分グロッキーだった。家の人にマクロードへ行く道を教えてもらい、石ころに躓きながらびっこを引き引き歩いて行くと、ついに自分の知っているアスファルトの山岳道路に出た。その道の何と歩きやすかった事か。

30分くらいテクテク歩いて、ついにマクロードガンジの町に着いた。おなじみのフレンズ・コーナーという店に飛び込み、コールドビヤー!と喚いた。ゴールデンニガー(ビールの商標名)をコップに注ぎ乾。実に美味かった。マトンツクパ(ラーメン)とチョウメン(焼きそば)を平らげ、デザートにヨーグルトを食べ大満足。

店を出て(夜8時過ぎだった)バス停に行くと、もうバスは無いという事だった。それではタクシーで帰るかと値段を交渉するが、あまり高い事を言うので頭に来てダラムサラまで歩いて帰る事にした。

ダラムサラまで、まともに行くと10kmくらいある。しかし、我々は近道を知っていた。5kmばかしテクテクと山道を歩いて、マメが出来始めた足をだましだまし、家に帰った。

家に辿り着いて時間を見ると夜10時くらいだった。朝の9時から夜の10時までずっと歩いていた事になる。しかし家というものは良いものだと、この時しみじみ思った。

ケロシンストーブをプレヒートしてポンピング。すぐにストーブはゴーゴーと快い音をたて、燃え始めた。水瓶から鍋に水を汲んで湯を沸かした。たっぷり砂糖を入れたインスタントコーヒーがやけに美味い。リンブー(プリンスメロンより大きな巨大レモン)と蜂蜜を湯でといた飲み物も美味かった。

その後、疲れ果ててすぐに寝てしまった。


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