旅の記録 印度編 12-1

india12-11989年11月18日

プリ屋で朝食。チャイを飲んでから、そのまま二人でスデールの村へスケッチをしに歩いて下った。

町から2kmくらい下ると村の中心部に着く。中心部といっても、バス停と2軒の茶屋があるだけ。茶屋は雑貨屋も兼ねている。店の親父も暇そうに外を見ている。

スズメが店の中の天井の隅っこにとまって、我々がチャイを飲むのを顔を傾げて見ている。パンくずを投げてやると床に飛び降りてきて、パクパク食べ、終わると元の場所へ舞い戻る。

インド人は動物を苛めないから、信じられないような光景によくぶつかる。

ある日、夕方暗くなってから町外れのカレー屋に入って何気なく上を見たら、天井の隅っこにへばりつくようにしてスズメが眠っていた。ぐっすりお休みになっていたので笑ってしまった。

ダラムサラの町にはサルの群れが住んでおり、木から木へ、屋根から屋根へと移動して暮らしている。町の中のホテルに暮らした時は、サルが一日中窓の近くの木や屋根の上を走り回るので、煩くてよく眠れなかった。サルの行動を観察するにはもってこいのホテルだが、洗濯物や食べ物を盗られるので困った。

隣近所の住人も時々頭に来るらしくて、パチンコで撃ったりしていた。しかしサルは利口だからそんな簡単に当たらなかったし、インド人もそれ以上の事はしない。とにかくサルはハヌマン(猿神)の家来だから、牛と同様の扱いである。

ダラムサラの町は、町が牧場同然と言ってよい。牛はもとより、羊やロバ、山羊に鶏が町の中を自由に歩き回っている。もっとも、牛以外は飼い主が付き添っている。

牛は一日中、町中をノソノソと歩いたり眠ったりして過ごし、夕方になると家に帰ってゆく。もっとも、なかなか家に帰らず町で夜遊びしている牛もいる。食堂の前で牛がチャパティをねだっているのをよく見かける。店の人は「しょうがねーな」という感じで、チャパティーを牛に上げるのである。

彼らは犬も含めて人によく慣れ、おとなしい。ある日僕らは山道で象のように巨大な水牛にパッタリ出会った事があった。水牛は首をぐっと上にあげ、大きな目で我々を伺いながら道の真中に立っていた。

こちらもギョッとして、こいつが突っ込んできたらコトだなと思って、動かないで相手の出方を見た。と突然、水牛はくるりと向きを変え、ドドっとすごい勢いで反対の方向へ逃げ去ったのである。安心もしたが、あっけにとられてしまった。

ある朝、外出しようと思って玄関のドアを開けようとしたが、開かないので慌てた。よく見ると、玄関のドアの前で牛が草を食べているのだった。仕方ないので勝手口から出たのである。牛が宿の廊下に寝ていた事もある。

牛が沢山いるので、ここではフレッシュミルクに不自由しないですむ。チャイはたっぷりミルクの入ったミルクティーで、栄養がある一般的な飲み物でインド人は一日に何杯もチャイを飲む。牛は町中で新聞紙、ダンボール、チャパティ、野菜の屑、時に店先から大根などをくすねて食べている。これらがミルクになり、我々の飲むチャイの原料となっているという訳である。


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