タスマニア旅日記(自転車旅行) 42-1

au42-12002年4月11日 日曜日 晴れ シドニー→ソウル

朝8時前に目がさめた。シャワーを浴びた。今夜は飛行機の中だから風呂なしだ。チーズとクラッカーとミネラルウォーターで朝食をすませ、パッキングして朝10時にホテルを出た。

道路でタクシーをひろい空港へ行った。今度の運転手はイタリア系?の若い男だった。俳優のブルース・ウィリスにそっくり、もう少し背が高い。

彼は走り始めるとすぐに話し始めた。

「どこから来たんだい」と彼は言った。
「日本からです」
「ホリデーか?」
「ええ」
「仕事は何をやってるのかね」
「シェフですよ」
「日本の景気はどうだい」
「良かないですよ。ゴートゥダウン ノットグッド」と私が顔をしかめてみせると彼は
「オーストラリアも物価が上って暮しにくくなったよ」とハンドルから手を放し両手を広げ肩をすくめた。車の運転中に両手をハンドルから放したタクシーの運転手は彼がはじめてだ。まあ、プロだから大丈夫だろう……

「あんたはシングルかね」と彼は言った。
「いえ、アイ ハブ ワイフ」と私が言うと
「女はめんどくさいよ。トラブルのもとさ」と彼は運転しながら肩をすくめた。
「そうかもしれないけど必要でもありますね」と私が言うと彼は
「どうかねェ、俺はボーイの方が好きだ」と彼は言った。
「ボーイ?あなたは男の方がいいんですか」
「オフ・コース、男の方がいいよ、ぜったいに」
「私は今58歳ですよ。若い時は妻なんていらないと思ったけど、今は結婚してよかったと思ってます」
「結婚?人生はボーイと楽しむためにあるんだぜ!」

なんだか話の展開が変てこな感じになってきたなと私は思った。彼はホモ・セクシャリストらしい。オーストラリアはホモが多いんで有名な国でもある。まあ!私くらい年くってりゃせまられる心配はない。

「去年はホリデイで2週間ヨーロッパに行ったんだ」と彼は話を続けた。
「ドイツとフランスに行ったよ」
「あんたなら、ボーイにもてたでしょう」と私が言うと彼は
「楽しかったぜ」と言い思い出すように笑った。
「でもヨーロッパは物価が高くてマイったぜ」
「確かに高いですね」
「でも、やはりいいのよ、ヨーロッパは」彼はヨーロッパが気に入ったのだと言った。
「あんたはどこの国のボーイが一番好きですか」と私が聞くと
「アジアだね」
「なぜですか」
「理由なんてないのよ。好みの問題さ」
「ナルホド」

シドニーにはエイシアンが一杯いるから彼の恋人はアジア人なのだろうと私は思った。私は矛先を変えて

「ところで景気はどうですか?」ともう一度聞いてみた。
「景気?まったく悪くなるばかりさ。物価はあがる一方だ」
「日本も悪いですよ。住宅や食品が高いんで楽じゃないです」
「そうか、それもこれもみんなあのファッキング・アメリカのせいだぜ。アメリカが戦争を始めたから、世の中がおかしくなってきやがったんだ。ファック・アメリカのせいでパキスタンもアフガンもパレスチナもひでえもんだ。住む所も食う物もなく市民はいつ殺されるかと皆、おびえて暮してるんだ」

彼の英語はネイティブでないところをみると、アラブ系かもしれない。

「ビン・ラディンにゲリラ戦を教えたのはアメリカのC・I・Aなんだぜ。それが今度はアメリカの敵ってわけさ。みんな、ファッキング・アメリカが悪いんだ」

そう彼は激しく言って拳をふりあげた。まわりを走っているドライバーはびっくりしたかもしれなかった。拳をふりおろした所で空港に着いた。

「ハウ・マッチ?」と私が言うと「16ドル50セントだよ」と彼は言った。彼はボラなかった。

私は彼に20ドルわたした。釣りはいらないと言うと、彼は

「サンキュー、ハブ ユー グッドタイム。今度は奥さんと一緒に来るんだろ、また会おうぜ」と握手し去っていった。


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