ピラニア軍団の夏休み 4

親分と北海道キャンプ その2

夜になり谷間は真っ暗になり冷気が押し寄せてきた。

豪勢な焚き火を皆で囲んで、ジンギスカンをたらふく食い酒をイイだけ飲んだ。男達の顔は焚き火に赤く照らされ、竹槍を抱え込んだ姿はまるで「山賊」に見えた。時代が時代なら我々はほんとに山賊にでもなっていたんじゃなかろうか、と思った。グデングデンに酔っぱらった子分達がそのうち取っ組み合いのケンカを始めると、親分は止めさせるどころか、「もっとやれ」とけしかける始末だった。 続きを読む »

ピラニア軍団の夏休み 3

親分と北海道キャンプ その1

S商事の中庭には常にスピーカーのついたスズキの白い軽トラックが20台以上停めてあった。これは一日千円で親分が子分達に貸している営業車であった。私は自分のトラックを使用して通っていたから、親分は私を客分として扱った。親分は私のことを「栗岩さん」と呼び、私のことが気に入っているらしく何かと便宜を図ってくれた。 続きを読む »

ピラニア軍団の夏休み 2

人形佐七とタカハシ

本名はともかくとして、仲間内からそう呼ばれている27、8の若い男がいた。彼は親分の片腕で、S商事の番頭であった。テレビに出て来る人形佐七そっくりの水も滴るイイ男だった。焼き芋屋としての腕もピカ一だった。ヤキイモを仕入れに行くといつも彼が応対してくれた。料金を受け取り帳簿を付けるのも彼の役目だった。 続きを読む »

ピラニア軍団の夏休み 1

S商事とピラニア軍団

昔の話になるが、東京の下町にS商事というちっぽけな会社があった。社長は40代の男でいつもトレーナーにパンチパーマ姿で体もでっかく、どこかの大学の柔道部のキャプテンに見えないこともなかった。彼は「焼きイモ屋」の親分で20人ほどの子分どもを束ね店を仕切っていた。彼はいつもニコニコしていたが怒ると怖い男だった。仲間内では「イトーのおやじ」で通っていて子分たちはピラニア軍団と呼ばれていた。 続きを読む »

釣り夜話

私があの島へ釣りへ行ったのは今から十年以上前のことだ。

その島の名をここには書かない。なぜかと言えば、そこは仙人の住む島だからである。その島では、夜になると月の光に誘われてジャングルの中からヤシガニが這い出てきて海水に浸ると信じられていた。私はその島の人里から離れた海岸のジャングルの中で半年ほどキャンプをし、毎日魚を釣って暮らした。これはそのときの話である。 続きを読む »